INTERVIEW 社員インタビュー

05 石油/船員

あらゆる航海も、私たちの燃料補給なしには始まらない。

PROFILE

  • 大谷さん

    国立高等専門学校を卒業。2018年中途入社。高輝丸 機関長。商船高専を卒業後、セメント運搬を行う海運会社に入社したものの、無理な働き方に悩み退社。その後、現在の上司である船長から声がかかり、高山石油へ入社した。現在は船のエンジン部分の保守・管理や甲板作業などを手がける。

  • 田中さん

    国立高等専門学校を卒業。2019年中途入社。同僚の大谷とは商船高専の同級生。新卒で海運会社へ入社したが、長期間拘束される働き方に限界を感じ退社。そのタイミングで大谷から紹介を受けて、高山石油に入社する。船体の保守管理や甲板作業などを担当している。

瀬戸内海・周南地域の海運を支える使命。

お二人は、普段どんなお仕事をされているんですか?

田中

僕らが乗っている船「高輝丸」は、例えるならば”海上のガソリンスタンド”。瀬戸内海の周南地域はコンビナート地帯であり、毎日多くの船舶が行き交っています。長距離移動する商用貨物船などに燃料を給油するための船が「高輝丸」であり、“バンカー船”と呼ばれています。そんなバンカー船のメンテナンスや、給油作業、甲板作業などを行うのが僕たちの仕事です。

大谷

“甲板作業”とは、船を着ける際などに発生する甲板での作業のこと。給油の際に相手の船へロープを投げ入れて船体を近づけたり、波が強い日には重しをつけたロープを投げて引き寄せたりするんです。本来、甲板作業は航海においてとても重要な任務で、前職ではなかなか任せてもらえないような仕事です。ですが、この船は少数精鋭であり、若手から経験を積める環境があり、幅広い経験を積むことができます。これは、当社ならではの特徴ですね。

田中

“ウィンチ”と呼ばれる、クレーンと組み合わせて使う大きな巻き取り機を操作したり、船体のペンキ塗りやサビ落としといった作業をしたり…。船員としての仕事は、すべてこの船でイチから教えてもらいました。毎日できることが増えていく楽しさがあります。

大谷

操舵室に入れるのも、この船ならでは。舵を取る先輩の船員から「こういう場合はこんな経路を通るんだよ」なんてお話が聞けて、面白いですよ。

この仕事を行う上で、大切なことは何だと思いますか?

大谷

船は、自動車のようにどこでも簡単に給油できるものではありません。もし航行中に燃料不足になったら、各所に甚大なダメージを与えることになります。だからこそ、「海上のガソリンスタンド」である私たちの存在はかなり重要。物流インフラを支える一社として、燃料の安定供給には強いこだわりを持っているんです。
そのためには、当たり前ですが、お客様から指定があった燃料をしっかり届けることが基本です。燃料はとても大きなホースで大量に注ぐものなので、誤差や不足が生じてしまうこともあります。10の燃料を頼んだのに9しか給油されなかった…なんてケースも他のバンカー船では時々あるようですが、当社は指定された数量を必ず給油しきるのが鉄則。毎回給油数量を必ず確認して、燃料の調達にはとても気を使っています。

田中

「燃料を切らさないように、指定の給油数量を守る」という、とても基礎的な部分ではあるんですが、その積み重ねがお客様への信頼に繋がっていると思います。長年取引しているお客様も多いので、燃料を入れ終えた時に「しっかり入れてくれてありがとう」と感謝していただいたり、人数分のコーヒーをくださったりすることも。海外の船であれば、見慣れない外国のお菓子を貰うこともあります。誠実な対応をした分だけ感謝となって返ってくるのは、仕事冥利につきますね。

船員にとって働きやすい環境。もうここ以外じゃ働けません。

この会社ならではの魅力を教えてください。

田中

私が転職してきた理由でもあるのですが、「働きやすさ」は抜群ですね。前職では大型船に乗っていて、長距離移動が基本でした。それに人手不足も重なり、最長10ヶ月間も船から出られなかったことも…。その点、当社の船は短距離移動が専門なので毎日必ず港に帰ってきますし、休みもしっかり取れるので本当に助かっています。

大谷

当社の働き方は、1週間まるっと出勤したら、次週は前半3日か後半4日がお休みになるという週ごとの交代制。2週間に一度、3日以上の連休があるのです。さらに土日は、仕事が少なければ出勤の週でもお休みになります。なので1週間のうち5日がお休みになることも。それでも月給制なので給与は変わらず、早出や残業があれば手当もちゃんとつきます。

田中

この業界は慢性的に人員不足なんですが、当社は人員にゆとりがあり、常に1人は休める体制となっています。なので、この業界ではよくある休日出勤も発生しにくいんです。

大谷

あとは先輩方の人柄も大きな魅力のひとつです。以前体調を崩したことがあったんですが、その時はすぐに「大丈夫か?」と電話をくれて、なんと家まで食材などを持ってきてくれました。後輩にここまでしてくれるって、なかなか無いですよね…。
それに、僕らは今29歳とまだまだ若手なんですが、意見があれば必ず聞き入れてくれます。ここまで若手の声を拾ってくれる会社ってあるかな?と思うほどです。なので上下関係をあまり気にせず接することができて、すごく居心地がいいですね。

先輩のような頼もしい背中を、僕らも早く見せられるようになりたい。

今後、仕事で成し遂げたいことはありますか?

大谷

先輩のように、「船のトラブルは大谷に聞けば大丈夫」と言われる存在になることです。
長く海に出ていると、どんなに気をつけていても船にトラブルが発生することがあります。以前も、航行中に突然「パン」と音がして、空気系統の導管が破裂したことがありました。操縦が不能になり、修理しようにもやりようが無い…という絶体絶命の状況。かなり焦りながら船長に相談したところ、「とにかく船が止まるのが一番ダメだから、壊れてもいいから導管をハンマーで叩いて空気を止めて」と冷静かつ的確に指示してくれました。その対応のおかげで、操縦ができるように。無事に港へ帰ってこれました。
こんな緊急事態の対応は、経験と長年の知識がなければできないもの。先輩方はいつか引退してしまうので、その時までには僕が頼れる存在になっておかねば、と修行を積んでいるところです。

田中

周南下松周辺の安定航行を支えている会社なので、やはり無事故無違反が一番大事。信頼を積み上げて、「ここあたりで給油するなら高山石油が一番」と言ってもらえる存在になりたいです。